えたいのしれないなにか

ちらしのうらとかそういったたぐいのものかもしれないね(てつがく)

「目黒さんは初めてじゃない」:逆張りを極めれば正統派になると教えてくれる名作

先日ブックオフに行った際に、たまたま目についた作品がありました。

 

 

「目黒さんは初めてじゃない」という作品です。pixivと講談社が立ち上げたパルシィという漫画アプリで連載されています。

最初にタイトルを見て「初めてじゃない」とはずいぶん穏やかじゃないですねという印象を持ちました。まあタイトルは気を引くために少し大げさだったりしますからね、どうせ読んでみたら初カレじゃないとかそういうことでしょうと表紙をめくります。

彼女いない歴イコール年齢な主人公が学校のマドンナに意を決して告白したら、返ってきた答えがこちら!

 

 

う~ん・・・

 

 

非処女のヒロインが登場しました。そりゃ学校のマドンナなんだから前カレいたって不思議じゃないけど、肉体関係まであるとなるとラブコメとしては珍しいな。

しかしこのヒロイン目黒さんの非処女ぶりはぶっ飛んでおりまして、歴代の彼氏と1か月以上もったことがない、そしていずれも交際1-2日でセックスする超スピード感。本人も今の彼氏が何人目かあまり分かってないし、周囲からの評価はもちろんビッチです。当たり前だ。というかビッチのマドンナって何なんだろう、それでラブコメ成立するの?

ここまで読んでいただいた皆さんは目黒さんを「清楚系ビッチ」と認識し、なんとなく性格悪そうだなというイメージを抱かれたのではないでしょうか。

しかし驚くべきことに、目黒さんはとってもいい子なんです。感情に乏しいクールなキャラではありますが、やや流され気質なのと「人を拒まない」という信念から誰からの告白でも了承し、彼氏の要求になんでも応えようとした結果ヤリチンのおもちゃになってしまい、まともな人間は告白ハラスメントを気にするor股ゆるっぷりに失望して離れていき、アプローチしてくるのはヤリチンばっかりという悪循環に嵌っていたのが実情。そういうわけで、陰キャ童貞の主人公が陰キャあるあるの玉砕告白をしてもあっさり受け入れてくれたのでした。

こんな感じで交際を始めた主人公(以下、古賀くん)と目黒さんですが、今までの交際経験が災いしてか目黒さんのデート知識は制服でも入れるラブホテルの場所や料金ばかり、古賀くんが求める「目黒さんのしたいことを一緒にしたい」がなかなか理解できない様子。人生悲惨すぎませんか目黒さん…。それでも一途に目黒さんを愛し、ありのままの彼女を受け入れる古賀くん。完全に理解ある彼くんムーブです。童貞は童貞でも一切こじらせてないからこそできる芸当です。愛が深すぎる。慈愛の神なのかな?そんな古賀くんの時々ちょっと変な言動を「ふしぎ」だと思いながらもバカにしたり見下すことなくまっすぐ見つめる目黒さんもいい子すぎる。それでも男に弄ばれすぎて流石に心が壊れかけていた目黒さんですが、純粋な古賀くんとの交際を通じて本来の優しくて芯の通った女の子へと立ち直り、古賀くんへの想いも深まっていくのでした。

 

序盤のあらすじはだいたいこんな感じです。あとは皆さんに読んで確かめていただきたいところですが、ここで大きなネタバレをしますとこの漫画にセックスは一切出てきません。エロないよ(笑)

近年の女性向け漫画にしては大変珍しいことにずっとプラトニックラブが展開され、二人の心の深い結びつきを感じられるハートウォーミングな構成となっています。物語のクライマックスがキスで演出されるのにドキドキできる作品いまどき希少でしょ…。

 

一言で表すと「陰キャ童貞とクールな非処女が純愛する話」です。ぜんぶ逆張り。彼氏はぜんぜんイケメンじゃないし人気者でもなく、ヒロインは清純さのかけらもない経験人数数十人。そんな2人が性の絡まない恋愛をする。でも、一周回って正統派純愛漫画に仕上がっています。これが本当に面白いと思っていて、逆張りを極めると正統派になるんですね。ものごとの妙のようなものを感じます。

 

漫画アプリ・パルシィの立ち上げ作品として現在も配信されており、アプリで配られる無料チケットで全話読めます。

palcy.jp

URLにご注目。作品番号なんと1番です。講談社とpixivがこの作品にかける期待の大きさがうかがえますね。

ただ、単行本でしか読めない書き下ろしに目黒さんがビッチになったきっかけとなる初恋エピソードなどが載っており、これを読んでおかないと目黒さんの特異な考え方を理解できないと思います。

bookwalker.jp

作者いわく最速サイトだそう。ちなみにこのブログはアフィリエイトしてません。金くれ

 

あと先行レビューも紹介しておきます。

misojiru.hatenadiary.jp

anond.hatelabo.jp

 

色々な人が読んで、色々な見方を示している。面白いなと思います。ネタバレ許せる人はamazonの書籍ページに書かれている☆1レビューも読んでみると良いですよ。非処女絶対許さんマンが内容を詳細に語りつつ批判を重ねています。

 

皆さんも単行本買うかパルシィをインストールして読んでみてください。